2022
01
20
民法改正と残業代

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

本年最初のコラムは「民法改正と残業代」というテーマで記載させていただきます。

かなり前のことにはなりますが、民法が大きく改正されたというニュースは皆さんも目にされたことがあると思います。

残業代に関しては、労働基準法や労働契約法といった法律が問題となる場合が多いのですが、民法が問題となる場合もあります。

今回の民法改正では、残業代の請求に大きく影響を与える改正が行われました。

それは、時効の部分の改正です。

改正前は消滅時効期間が2年間だったのですが、今回の改正により、消滅時効期間が3年間となりました。

簡単に言いますと、改正前は残業代(賃金)を請求できる期間が2年間だったところ、改正後は3年間になったということです。請求できる期間が3年間になったということは、労働者の方々にとっては有利な改正ということができるでしょう。

ただし、上記改正が適用されるのは2020年(令和2年)4月1日からなので、この改正の恩恵を受けるのは、2022年(令和4年)4月1日から、つまり、2022年4月1日から2年間を超えた残業代が請求できるということになります。

なお、この3年間の消滅時効期間は、あくまでも当面ということで、今後、期間が伸びる可能性があります。

近年、各法律の改正が行われ、労働者の労働環境は改善されつつありますが、未だにサービス残業などと称して、適正な残業代を支払わない企業も珍しくありません。

皆さんの中には、残業したことを証明する証拠がないから請求しても無理だろうと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、企業には、労働者の記録(出勤簿、タイムカード、賃金台帳など)を一定期間保存する義務が課されており、開示請求をすることで証拠を集めることが可能です。また、例え開示を拒否されたとしても、開示を拒否されたという事実を主張することで、労働審判や裁判において、労働者の主張が認められる可能性もあります。

適正な残業代の支払いを受けていないかもしれないとお感じになられた方は、まずは弁護士にご相談ください。契約通りの休憩時間が確保されていないなどといった別の問題も明らかになり、残業代をはじめとする賃金を請求できるかもしれません。

弁護士 水見隆文