いつの間にか2月です。
会場型のさっぽろ雪祭りは中止となってしまいましたが、落ち着いた札幌の冬の街並みもたまには良いと思う今日この頃です。
さて、2月と聞けばバレンタインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
今回は、バレンタインデーチョコレートと民法との関わりについて、お話ししたいと思います。
A子さんがB太郎君に対して「バレンタインデーにチョコレートをプレゼントするね」と言い、B太郎君が「ありがとう」と返事した場合を考えてみます。
このA子さんの「チョコレートをプレゼントする行為」は、「贈与」だと思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この「贈与」は、民法549条に規定されています。「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と書かれています。この条文の最後に書いてある「その効力を生ずる」とは、簡単に言えば、贈与契約の義務が生じるという意味です。
先ほどのA子さんとB太郎君の事例に民法549条を当てはめてみると、次のようになります。
当事者の一方(A子さん)が、ある財産(チョコレート)を、無償で相手方に与える意思を表示し(B太郎君にプレゼントすると言い)、相手方が受諾をすることによって(B太郎君が「ありがとう」と返事することによって)、その効力を生ずる(A子さんがB太郎君にチョコレートをプレゼントする義務が生じる)のです。
このように書くと、「バレンタインのチョコレートを誰にプレゼントするかは私の自由なのに、プレゼントする義務が生じるの?」というA子さんの心の声が聞こえてきそうですね。
でも、心配ご無用です。
民法550条は「書面によらない贈与契約は、各当事者が解除をすることができる」と規定していますので、A子さんは、B太郎君にチョコレートをプレゼントしないこともできるわけです。
さて、以上のように普段法律を意識しないような身近な日常生活についても、実は民法が隠れていたりするわけです。
何かお困り事がありましたら、「これって法律問題じゃないのかも」などとは思わずに、まずはお気軽に弁護士に相談してみてください。
弁護士 松野貴紀