2022
02
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面会交流

近ごろ増えてきていると実感するご相談の一つが、面会交流に関するものです。
面会交流とは、夫婦の離婚後または別居中に子どもと離れて暮らしている父母の一方(非監護親)が子どもと定期的.継続的に、直接会うほか.電話や手紙などの方法で交流することをいいます。
基本的には、子どもの父母が話し合って決めることになりますが、話し合いができない場合や話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に面会交流の調停や審判を申し立てることになります。
家庭裁判所は、面会交流は基本的には子どもの成長にとって有意義であり、子どもの福祉が害される特段の事情がある場合を除き、面会交流を認めるべきであるという立場をとっています。
ただし、面会交流の方法や頻度などについては、多くの要素が考慮され、家庭裁判所において協議・判断されることになります。
まず、子どもの側の要素としては、子どもの年齢、子どもの意思、子どもの生活に及ぼす影響、子どもの心身の状況、子どもと非監護親の関係などがあります。
監護親の側の要素は、監護親の意思、監護親の生活状況、子どもの教育に対する監護親の影響、非監護親との関係などです。
また、非監護親の要素としては、DV(ドメスティック・バイオレンス)の存在の有無、子どもを連れ去るおそれ、子どもへの虐待のおそれ、養育費の支払状況、面会交流時のルール違反の有無などがあります。
このように、当然に重要視されるだろうとみなさんも納得される要素もあれば、このような事も考慮されてしまうのかと驚かれる要素もあるかもしれません。
例えば、子どもの年齢や意思という要素について、中高生くらいの、自分自身の考えを十分に持つことができる年齢に達した子どもが別居する親と会いたいと強く思っている場合、その点を重要視することに違和感を持たれる方は少ないのではないのでしょうか。
一方、監護親と非監護親との関係という要素について、父母が紛争状態にあるということは、あくまでも父母の問題であり、子どもとの面会交流を検討する上で考慮されるのはおかしいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、例えば、父母の紛争状態が激化している中で面会交流を実施する場合、子どもが父母の紛争に巻き込まれてしまって精神的に混乱する可能性が十分にありますので、軽視しても良い要素では決してないと思われます。
いずれにしても、「面会交流は基本的には子どもの成長にとって有意義」であるという点は大方の共通理解だと思いますので、監護親と非監護親が双方納得し、そして何より子どもの成長に資する面会交流の実施が理想的ですね。

弁護士 横田亜季