2021
03
08
みんなの安心 成年後見制度

少子高齢化が加速する中で、成年後見制度の重要性が非常に高まっています。

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る援助者を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です。

成年後見制度には、本人の判断能力の程度によって、後見、保佐、補助と3種類の制度があります。後見の対象となるのは、判断能力が全くない方、保佐の対象となるのは、判断能力が著しく不十分な方、補助の対象となるのは、判断能力が不十分な方です。後見人、保佐人、補助人にはそれぞれ権限があるのですが、ここでは詳しい説明は省かせていただきます(ここでは、以下、三者を包括して後見人と呼ぶことにします。)。

後見人の役割は、本人の意思を尊重し、かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わって、財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって、本人を保護・支援することです。

では、具体的にどのようなときに成年後見制度は役立つでしょうか。

Aさんが認知症のため判断能力が全くない状態になった際に、Aさんと同居する長男BさんがAさんの財産を管理して、Aさんが亡くなる頃にはAさんの財産がない状態になっていたら、Aさんと別居する二男CさんはBさんの財産管理が適切だったのか疑問に感じる可能性があります。Aさんの死後、Cさんとしては「兄は親の財産を勝手に使い込んだのではないか。」と疑念を持ち、Bさんとしては「親の面倒を見たのは全て自分なのに、弟は金の事ばかり言う。」と不満を覚え、兄弟間の紛争に発展してしまうことも考えられます。

このようなとき、Aさんについて成年後見人を選任してもらい、Aさんの財産を後見人が管理していたら、紛争の火種を小さくする一助になります。成年後見制度は、被後見人(Aさん)本人のための制度であるとともに、被後見人の家族(Bさん、Cさん)のための制度でもあるのです。

判断能力に不安を感じる方ご本人、その身の回りの方は、弁護士へのご相談をおすすめします。

 

弁護士 横田亜季